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催眠療法とは

​もっと詳しく!ヒプノセラピー(退行催眠療法)​

目次

 

催眠療法とは

ヒプノセラピーでは

​催眠状態って、実際のところ、どんな状態?

セッションを受けても、何も出てこないことってあるの?

​個人セッションではどんなことを経験するの?

ヒプノセラピーに適している人とは?

ヒプノセラピーの特徴って?

ヒプノセラピーのリラクゼーション効果とは?

癒すとは?

​セッションの後が大切!

​催眠療法とは

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 催眠療法とは、クライエントさんを催眠状態へと導き、潜在意識に隠された問題の原因やトラウマなどに向き合い、本来のその人らしい生き方を探る心理療法です。

​ 人の心の、本人が意識できる部分を顕在意識、意識できない部分を潜在意識と呼びます。

 

私たちが意識できる部分は、心全体の10%程だと言われています。残りの90%は意識されずに過ごしています。

 

普段、顕在意識と潜在意識の間には膜があって、両者は簡単に繋がることができないようになっています。

 

潜在意識の中にある辛い感情などがふいに表に出てきたり、日常の様々な刺激が簡単にトラウマとして潜在意識の中に入り込まないよう、私たちは守られているのです。

 

この膜ができるのは、8〜9歳頃と言われています。催眠状態では、膜が一時的に取り払われた状態になります。普段思い出せない過去の記憶などを引き出せるのは、この為です。

​ヒプノセラピーでは

 ヒプノセラピーでは催眠によって、潜在意識の中のトラウマに向き合ったり、今抱えている問題の本当の原因を探ったりします。

 

主に幼少期もしくは過去生と呼ばれるものに戻りますが、過去生の存在を信じている必要はありません。あくまで自分自身の潜在意識の中にある『物語』、ストーリーと考えて下さい。

 

セッションを受ければ、人は自分の心の奥深くにある『物語』に、大きな影響を受けながら日々過ごしていることに気づくと思います。

 

セッションはクライエントさんご本人の潜在意識によって展開されます。気づきも癒しも、自分自身の内側から生まれてきます。

 

顕在意識ではどうしたらよいのかわからないと思っていても、潜在意識は、問題のありかとその原因、そして解決方法を示すことができます。

 

例えば、自分の心の深いところの本心や、過去の行いとその結果、起こる出来事や今置かれている状況の意味などを紐解くことによって、より深くトータルに自分自身を見つめ直すことができます。

 

今まで​気づかなかったことに気づくことで、自分自身に対する深い理解と受容が起こり、その結果として新たな見方や可能性、癒しなどを感じることができます。

 

つまり、顕在意識がちゃんと理解できる形での気づき、学び、答え、方向性、癒しなどが、ご本人の潜在意識の中から生じてきます。ヒプノセラピーは、理解と受容によってその人を最善の道へと導きます。

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催眠状態って、実際のところ、どんな状態?

 

よくある疑問や不安は、催眠状態になると、言いたくないことを言わされたり、自分の意志ではないことをさせられる、催眠から覚めれなくなる、催眠中のことを何も覚えていない等で、普段の意識状態とかけ離れた状態を想像されることが多々あるようです。

しかし、催眠状態とは、今ある意識(顕在意識)を保ったまま、無意識(潜在意識)が活発に働いている状態、顕在意識と潜在意識が繋がった状態ですので、普段の意識状態から遠く隔たったものではないのです。

 

催眠中もちゃんと意識がありますし、全てを覚えていられます。自分の状態をきちんと識別できますから、言いたくないことは言わなくてよいし、自分の意志で自分自身をコントロールできます。

 

催眠状態とは、言い換えれば、非常に深くリラックスした状態です。私自身の感覚としては、目覚めたまま見る夢のようです。情景や色彩が浮かんだり、感情が沸き上がったり、自然に様々なイメージが浮かんできます。リラックスすることができれば、どなたでも催眠状態になります。

​少し例え話をしてみましょう。

自分がドラマか映画を観ている時を思い出して下さい。ストーリーが非常におもしろいので、ぐんぐん引き込まれてゆきます。いつのまにか主人公と一緒に、泣いたり笑ったりし始めます。ホラーなど恐ろしいシーンでは、震えたり、思わずキャッ!と叫んだりしながら怖がっています。

 

このように心が集中している時は、自分が本当はどこの誰で今ソファーに座って架空の物語を観ていて…ということをいちいち意識しません。かといって、ここはどこ?私は誰?という状態になっているわけでもありません。我を忘れて夢中になって観ている途中でも、喉が渇いたら水を飲みますし、お手洗いに行きたくなったら一時停止をして行きます。

 

退行催眠の個人セッションでもそれと全く同じことが起こります。深くリラックスした集中状態で、自然に沸き上がってくるイメージを重ねてゆくと、物語が現れ始めます。様々な場面を生々しく体験したり、色々な感情を感じたり、深い気づきや理解を得たりします。それはあまりに身近で自然な状態なので、今自分が催眠状態であると気づけない程です。

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私自身は基本的に、個人セッションにおいて自分の中から出てくるものを、自分の潜在意識の中の物語として受け取ってはどうかという提案をしています。この各々の物語が、いかに自分自身を左右しているか、顕在意識だけではなく、体の感覚から思考の癖、人生のパターンまで、いかに深く関わっているかということを、セラピストとしての経験を積む程に思い知らされるように感じます。

 

しかも、その関係は非常に自然なものなので、本人には気づきにくく、表に出ている症状の根が思っているよりも深いところにある、という構図も見えてきます。

 

けれども、根を掘ればよい、というものでもない、ということも同時に感じます。期が熟してタイミングがぴったりあった時には、確かに、奇跡のように感じる程の癒しが起こることもあります。

 

しかし、ほとんどの場合、日常生活の中でできる地道な努力を促す気づきが引き出されることが一番多いです。何も特別ではないそれらのアドバイス、もちろん自分自身の潜在意識からでてきたものですが、それを顕在意識で受け入れ、建設的に取り組めるか、意識的に協力できるか、が大切だったりします。

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セッションを受けても、何も出てこないことってあるの?

 

その答えとして、個人セッションを受ければ、その時のその人に必要なことが出てきます、と説明します。不思議なことですが、深いリラクゼーション状態になると自然にイメージが沸いてきますので、セッションが進むにつれ、ひとつひとつのシーンが自然に繋がり、物語が現れはじめます。始めは半信半疑だったクライエントさんも、時間の経過と共に、深く潜在意識の物語に没入してゆきます。

とはいえ、出てくる内容の量に関しては個人差がありますし、中々出てきづらいタイプの方も稀におられます。ただ、その場合にはタイミングという問題が深く関わっていると言えます。例えば、海外では精神科のお医者様がヒプノセラピーを行うことも多いですが、その場合、患者さんは催眠療法を受けるため週に一回など定期的にお医者様のところへ通うのが通常です。

 

初めは出づらいタイプの方も、セッションを重ねるにつれて出やすくなります。回数を重ねることで心理的な『抵抗』が弱まってゆくことや、リラックスしやすくなることがその理由として考えられます。

 

また、非常に大切なことと思うのですが、セッションの流れはクライエントさんの潜在意識が決めています。潜在意識は、ご本人にとって何が問題で、どう取り組んだらよいのか、その解決法もちゃんと知っており、その為に、今何が必要か、必要でないのかに従ってセッションを組み立てている、とも言えます。

 

時に、衝撃的な、本当に悲惨で残酷な、言葉に言い表せられないような悲しみや苦しみの場面に遭遇することもあるヒプノセラピーですが、(人々の心の深い所には、それだけ大変なものが眠っているという事実にもいやおうなく気づかされます。)同時に、愛情深く、知恵深く忍耐強い、時にユーモアもある、非常に魅力的な潜在意識を表した人格にも出会えるのが、ヒプノセラピーの特徴だと感じています。

 

潜在意識は、問いも答えも、許し癒しも、道もちゃんと知っている、そして、物語の道筋を丁寧に辿ることで、それらを分かりやすく理解することができる、受け入れることができる。セッションでそのような体験をする度に、大きな恵みを頂いたような気持ちになるのです。

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個人セッションでは、どんな経験をするの?

 

セラピストには守秘義務があるので、セッションの内容を外に漏らすことはできません。しかし、過去生退行療法のセッションにおいて、私自身や私の身内、私のセッションを受けて下さった方々の潜在意識から出てきた物語で取り扱った内容を羅列することはできます。セラピーが実際にどんなものかイメージしやすくなると思いますので、一部をご紹介したいと思います。

 

愛する人と結婚し平穏な人生、子供を育てる、大切な人を看取る、幸福。他にも、生き別れ、離婚や不倫、戦闘員、殺人、自殺、暴力、強姦、虐待、戦争、死刑、生け贄、火事、爆弾、革命、死体遺棄、孤独死、飢え死、病気、奴隷、生贄、裏切りなど。特に殺人は、撲殺、絞殺、刺殺、毒殺など様々で、立場も被害者、加害者、目撃者と様々です。羅列するだけで、非常に重苦しい気持ちになります。

 

物語の場所も、日本、ヨーロッパ、中東、アフリカ、中国、アジアなど世界各地。時代も二千年前から19世紀まで。立場も、貴族や王様から、農民、孤児、乞食まで。ありとあらゆる時代のありとあらゆる場所が舞台になっていることがお分かり頂けると思います。

 

今まで学問として勉強してきた世界の歴史が、ある意味、一個人の目線でリアルに目の前で繰り広げられるようなものです。人類の歴史の持つ悲惨さを思えば当然のことかもしれませんが、見たくないもの、触れたくないものも沢山埋もれているのが潜在意識です。興味本位よりも、きちんと取り組もうという意識が大切だと私は感じておりますし、不用意に掘り起こすのは危険とも言えるかもしれません。

 

しかし、ヒプノセラピーの場合は、クライエントさんご自身の潜在意識がセッションを導くので、今はまだ受け取れないというような内容のものを出してくることはありません。言い換えれば、出てきたものは、必ずなにかしらの理由や意味があって、今必要なこと、気づかなければならないないことが含まれているということです。

 

必要でないもの、現在の本人にとってプラスにならないものは出てきません。そのことをを顕在意識でもきちんと理解して、現実の生活の中へ落とし込んでゆく、その為のセッションと言えると思います。

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上記にて、実際のヒプノセラピーのセッションで取り扱ってきた内容をご紹介致しま下が、驚かれた方もいらっしゃったかもしれません。怖がらせようとしたわけではないのですが、時に非常に心を揺さぶるハードな内容を含みます。

 

セッションを左右する重要な要因のひとつとして、どれだけ感情を引き出せるか、ということがあります。悲しみ、怒り、喜び、嬉しさ、寂しさ、憎しみ、絶望などの感情を、涙や実感とともにありありと体験すること。これが、セラピーの大きな効果をもたらします。

 

もちろん、自分がなぜその感情を感じているのかや、その感情の奥にある本当の気持ち(本当はどうしたかった等)に気づくこと。その体験から生じた固定概念や思い込み(無意識に繰り返すパターン等)に気づくこと。

 

そういった細やかな作業も必要ですが、やはり、ありありとした生々しい感情を心の底から感じるということが、とても大きな意味を持つと感じています。そこから実感を伴った気づきが生じ、自分を受け入れる、許すということに繋がってゆくからです。

 

セッションで感情をありありと感じられる、感じやすいことには、理由があります。まず、催眠状態によって、表面的なものよりも、深いものに焦点が合いやすいこと。これはつまり、建前よりも本音に集中しやすいと言い換えられるかもしれません。また、潜在意識の中の『物語』(自分にとっての真実の物語)を利用することで、普段は抑圧されているものが出てきやすい、ということもあります。

セッションで出てきたものは、あくまで過去生という名の『物語』です。『物語』という枠組みがあることで、例えば現代社会では抑圧されやすい思いや衝動さえも、比較的、抵抗少なく受け入れ、体験しやすいです。自然と、自分の潜在意識の中に存在するパターンを俯瞰して見やすくなります。

 

自分の内側に何があるのかをまず気づかなければ、それに向き合うことも取り組むこともできません。ヒプノセラピーでは、『物語』という枠があるお陰で、抑圧している感情や自分自身の影(シャドー)を表出しやすく、受け止めやすいのです。

 

ヒプノセラピストとして人々と向き合っていくうちに、人間は多面的な存在ということをよりリアルに感じるようになりました。また、物語として個々人の中に存在しているものと、世界の歴史として存在しているものが呼応し、ひとりひとりの行いや感情が鏡のように反映し合っているような感覚を持つようにもなりました。つまり、最も個人的な体験は、えてして普遍的なものだと言われますが、それを身をもって思い知らされるような、そんな気がしてくるのです。

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ヒプノセラピーに適している人とは?

 

私自信がヒプノセラピーに出会って良かったと思うことのひとつに、共感の仕方が変わったということがあります。様々な方とのセッションを経験して感じることは、みんな同じ、ということです。

 

お会いした時は分からなくとも、セッションを行うと、多くの人が心の深いところに、悲しみや苦しみ、傷ついた子どもの自分を抱えているということに気づかされます。

 

様々な人生の出来事を通して、人は皆、同じような感情を経験します。悲しみ、苦しみ、絶望、希望、喜び、嬉しさ、楽しさ。人として持つ当たり前の感情ですが、セッションをしていると、それを非常に生々しくリアルに感じるのです。そのような経験を繰り返すうちに、どんな人も、自分の潜在意識から学ぶ準備さえできていれば、ヒプノセラピーから得るものは必ずあると言えます。

 

人は、ひとりひとり違うけれど、自分だけ辛いとか、苦しいなどということは決してなく、それぞれの苦しさを比べることもできない、ということを心の深いところで納得するようになりました。また、誰かの方が優れていて、もう一方の人は劣っている、ということもない、ということをひしひしと感じます。

 

どんな人も、想像もつかない程に様々な経験を経て、今現在ここにいらっしゃる大切な存在。人格の中に沢山の面を持っているけれど、ある一面が今、表に出ている。学ぶことがあるから、今現在の状態がある。誰もが、学べば変われる、ということを体験できるのです。

 

だから、自分の中にある、目を背けたいような嫌な面。他人に投影して人のせいにしてしまいたいような面。そのようなどんな側面も、自分自身だと受け入れる。否定するのではなく、肯定することから始まると、考えるようになりました。

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ヒプノセラピーの特徴って?

 

ヒプノセラピーの最も大きな特徴を挙げるようにと言われたら、問いや悩み、生き方や目指す方向性に対する答えが、自分自身の内側から、象徴的にも具体的にも出てくること、と答えます。

 

潜在意識から生じるイメージという言語を使いつつも、顕在意識でもちゃんと理解できる形で体験的に理解すること、それがセッションの柱となります。

 

自分自身との取り組み方、向き合い方は一つではありません。例えばカウンセリングや認知行動療法、夢分析、箱庭療法、フォーカシング、ボディワーク等々、様々な療法があります。その中から自分に合ったものを選べばよいと思います。

 

別の言い方をすれば、ヒプノセラピーは、無意識の意識化を体験的に行う心理療法と説明できるかもしれません。心の90%を占めると言われる無意識(潜在意識)の中に何があるのか、関心を持つ人にとって、大きな可能性を秘めています。

 

イメージ、物語、ストーリー、感情、感覚、色彩、印象など、心の深いところにあるそれらのものを紐解くことで、現在の自分自身の姿、置かれた環境を、今までとは少し違った視点で理解することができます。

 

様々な角度から検討され、深められた理解は、自然な受容をもたらします。受け入れること、つまり自分の持つ様々な面を認めたり許すことが、結果として癒しへ繋がります。

 

気づき、学び、癒しが自分自身の内奥から生まれるという体験をすることによって、心の奥深さや豊かさを知ったり、生きるための新しい指針を得たり、改めて人生を振り返るきっかけとなったり、人によって様々な変化が起こるようです。

 

そういった意味では、ヒプノセラピストは意識と無意識を繋げる役割を持ち、共に心の中を旅する伴走者でもあります。

 

なぜ今ある状態、状況にいるのか、根本的な理由や原因を掘り下げてゆき、更にその奥にある本当の思いや意味を見つけるお手伝いをします。

 

どんな方の心の中にも、癒しの為の道筋があると感じています。そして、そのことがどんなに尊いことか、人間という存在がどれ程の可能性を内に秘めているのか、胸の深いところで納得させられる体験を、私自身常にしていると感じます。

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ヒプノセラピーのリラクゼーション効果とは?

 

催眠状態自体は、とても心地よいものです。催眠に入るためには、まず全身の筋肉の力を抜くところから始めます。普段、忙しかったり、体を酷使していたり、ストレスが多い方などは、催眠状態に入るだけで、日頃の疲れが取れて楽になることもあります。

 

セラピストの誘導に従って、美しい庭や高原のお花畑をイメージしながら、深~いリラクゼーション状態でいると、全身の力が抜け、穏やかになり、ヒーリング効果が出てきます。忙しく日常生活を送っていると、自分のためにゆっくりとした時間を取るのが難しいこともあります。ゆったりとした状態で自分自身の心の深いところと向き合う…そのこと自体に深い意味があることもあります。

 

また、ヒプノセラピーを受けたら必ず、何か激しいもの、恐ろしいものが出てくるというわけではありません。むしろ、穏やかなセッションも多いです。例えば、現在の人生の意味、目的を知りたいと催眠に入り、過去世でやり残したことを見つけ、それが今の仕事に繋がっていることに気づく。今していることに新たな意味を見出すことができます。

 

他には、現在の家族、例えば母親との関係をテーマに催眠に入り、過去世でのお互いの関係を知って、現在の関係性に新しい見方と気づきを得る。関係性のテーマを見つけたことで、自分の気持ちや接し方に変化が現れたりします。

 

このように、今知りたいこと、学びたいことをテーマに催眠に入るので、セッションは人によって、また、テーマによって全く違うものとなります。その時のその人に必要なものが出てきますので、セッションで何か恐ろしいものが出るのではないか等と、闇雲に恐れる必要はないと感じますが、無条件に恐怖を覚える人もいらっしゃるかもしれません。

 

私自身、セッション前に非常に恐怖を感じた経験をInstagram等で紹介しましたが、確かに、セッション前は何が出てくるか分からないので余計に怖く感じてしまう、ということがあります。

 

けれども、たとえセッションで何か辛いこと、悲しみを感じるようなことが出てきても、出てきてくれさえすれば、セラピーの中でとことん向き合い、その中身をときほぐし、自分自身やその時の状況を理解し、そこから気付いたり学んだりすることができますので、終わった時には非常にすっきりとした心持ちになります。そう考えると、出てくることを恐れるよりも、出ないことで向き合う機会を失うことの方を恐れた方が良いのかもしれません。

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癒すとは?

 

『癒す』とは、本当のところ、一体どういうことなのでしょうか。例えば、今ある苦しみ、悲しみが嘘のように全く無くなる…とか、痛みを感じたり、悩んだりしなくてよくなる…ということではない、と考えています。

 

何も感じない心を作ることでもなく、むしろ、自分の抱えている悲しみや苦しみを、ありのまま悲しんだり、苦しんだりすることができる。人生で出会う様々な出来事から気づき、学び、成長することができる。

 

つまり、自分らしく生き生きと人生を生きるための土台となる、柔らかくてしなやかな心を育てること。その初めの一歩、本来の自分らしい心を取り戻すための、あれやこれやが癒しの中に含まれていると考えています。セラピーは、今ここに立つため、スタートのための準備でもあります。

 

ですから、癒すとは、時に、許すことであったり、手放すことであったり、受け入れることであったり、肯定することであったりするようです。現在抱えているもの、その内容によって取り組む作業が全く違ってきますので、自ずと、ヒプノセラピーのセッションも人によって全く違う内容となります。

 

ヒプノセラピーのセッションにおいて忘れてはならない大切なことは、セッションの内容を決めているのはクライエントさんの潜在意識ということ。

 

例えば、事前面談で、こういうことに悩んでいて過去生に戻りたいという希望があっても、実際に催眠セッションに入ると、現在の人生の幼少期に入っている、ということも起こります。もしくは、幼少期に戻りたいと仰っていても、過去には戻らずにセッションがイメージワークの形で進んでゆくこともあります。また、別のテーマで過去生に入ろうとしたはずが、亡くなられたお母さまが登場されて、そのままグリーフケアになることもあります。

 

潜在意識は、私たちの普段の意識(顕在意識)よりも賢いので、本当に必要なものを出してきますし、本当に必要なものしか出しません。そして、顕在意識が受け取れないようなものを出すこともありません。今、ご本人が受け取れるものの中でベストの体験することになります。

 

ですから、事前面談で、ご本人の顕在意識が『こうこうこうで〜』と説明しているものとはまた違った流れが常に存在しており、セラピストはそちらもしっかり見ています。催眠に入れば、クライエントさんの潜在意識があらわになるので、潜在意識が顕在意識に気づかせたいことを中心にセッションが組立られることになります。

 

ヒプノセラピーでは、クライエントさんご本人の中に、導きや答え、自分で自分を立て直していく力があると考えます。セッションではそれを様々な方法で引き出しますが、その内容は自然と、クライエントさんの今までの生き方や取り組みに応じたものとなります。セラピストが勝手に自分の思いでクライエントさんを誘導したり、クライエントさんの代りに答えを出したりすることはありません。

 

ですから、セッションを受ければ望み通りの体験ができて楽になる…わけではなく、自分の潜在意識に導いてもらう心の準備のある方が、抱えている悩みや傷や苦しみに取り組んでゆく中でヒプノセラピーに出会い、自分の心の深い所の声を聞き、自身の潜在意識をありのまま体験し、そこから気づきや学びを得て、結果として楽になる、というケースが多いと言えます。

 

ほぼ全てのクライエントさんの中から、知恵深く意味深いメッセージやアドバイスが出てきますが、それをどう受け取るかは人それぞれのようです。

 

特に、子供でも安易に理解できる易しい言葉で語られた真実などは、とるに足らないように思われることもあり、非常にもったいないと感じます。潜在意識は、顕在意識のどこに何が足りないのかはっきり分かっているので、そこを突いてくるようなセッションになることも多いのですが、それをどのように受け取るか、その後の生活の中でどう生かしていくかが一番大切なことと思います。

 

『癒し』と聞くと、一般的には、何か優しくて温かくて穏やかなイメージが湧きますが、それは癒しの一面であり、時に傷口にメスを入れるような、くさいものに蓋をしていた、その蓋を開けるような、できるなら避けたい、目を背けたい自分自身に向き合う作業をも含みます。

 

けれども、闇が深ければ深いほどに、光は温かいものです。心理学者CGユングも、光ではなく闇と向き合うことによって、と言っていますが、自分の闇にどれだけ深く取り組んできたかが、もしかしたらセッションを左右する一番の要因ではないかと考えるこの頃です。

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セッションの後が大切!

 

ヒプノセラピーは、セッションでの強烈な体験や感情の動き、それに付随した自然な変化が大きな特徴の一つと言えると思います。ヒプノセラピーのそのような面は説明しやすく、分かりやすく、話題としても取り上げやすいので、その具体例をInstagram等でも色々とお話ししてきたのですが、しかし実のところ、本当に大事なのはセッションの後と言えます。今回は、その理由を話してみたいと思います。

 

まず、私がヒプノセラピーに特徴的で、最も重要な価値を感じている点は、自分の口から、自分の足りないところ、未熟なところが出てくることです。これは非常に意味があることで、人に指摘された欠点を受け入れることは難しくとも、自分の口から出てきた指摘は否定のしようがありません。また、セッションでは時に、被害者の立場だけでなく、加害者の立場の自分自身もありありと出てくるのです。これは大きな衝撃を伴う経験となることが多いです。

 

もし、催眠状態で自分が、自分に都合の良いことばかり話すのなら、これはでっち上げではないか?自分が作り上げた妄想ではないか?と疑問に思うこともあるかもしれません。しかし、催眠状態で出てくるのは、今まで想像さえしたことのないことや、時に自分にとって都合の悪い自分自身の姿なのです。

 

また、潜在意識からは、今気づかなければならないこと、学ばなければならないこと、方向性や答えや示唆がメッセージとしてしばしば出てきますが、潜在意識に尋ねさえすればなんでも答えが得られるというわけでもありません。

 

何かを尋ねて、自分で考えなさいというメッセージが出てくることもありますし、まれに自分の望んだものがセッションで出てこないケースもあります。その場合には、潜在意識側の理由がちゃんと存在します。

 

その理由は主に三つあります。一つは、今の本人が受け取れない場合。これはタイミングの問題も関係していますが、それを知ることが本人にとって重荷になってしまう場合、しんどさや辛さが生じる可能性がある場合。この場合は、もう少し受け取りやすいテーマを扱ったセッションになります。ですので、受け取れないようなも重たいものが出てきたらどうしよう…と不安になる必要はありません。

 

二つ目は、必要がない場合。潜在意識には明確な優先順位があるので、本人が希望しているものよりもっと重要性のあるものがあると、セラピストがどんな誘導をしようと、今見るべきものの方を出してきます。そのような場合、このテーマを先に経験しないと次はないなぁというようなセッション内容になります。

 

三つ目は、それを体験することが、本人にとって良い影響がもたらされない場合。つまり、現在の生き方にプラスに生かすことができないものは、潜在意識は出してきません。

 

意識、つまり顕在意識とは全く別の、独立した意図を持つ潜在意識を、意識で理解することは簡単ではありません。けれども、私たちの潜在意識は非常に賢いので、今の私たちに受け止められることをちゃんと出してきてくれる。気づかなければならないことに気づけるように、そこから学べるように、工夫を凝らして導いてくれている。

 

つまり、セッション自体が潜在意識からのメッセージであり、セッションでどんな体験をして、どんな感情を感じるのかは、潜在意識の手の内の経験と言えると思います。

 

しかし、その経験にどんな反応をして、どんな気づきを得て、どんな学びを掴むのかは、ご本人の顕在意識のなせる技です。

 

セッションから何をどう汲み取り、今の生き方にどう活かしていくかー。私たちの意識がそれを問われており、潜在意識から謙虚に学ぼうとする姿勢が必要になってくる理由でもあります。そういった意味で、セッションの後にどうセッションと向き合ってゆくのかが実は一番大切なことと感じています。

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